「言葉の意味を理解するには」を考えて出会った一冊の本
以前、
という記事の中で、
- AIによって仕事を奪われる
- AIができないことをできるようにならないといけない
- AIは言葉の意味を理解していないから、読解力を身につけた方がいい
ということを取り上げました。
そして、読解力を身につけるためには
- 言葉をしっかりと理解する
- 学んだ言葉を使って表現(アウトプット)する
- 他人に解説・指摘(フォローバック)してもらう
が必要です。
だけど、よくよく考えてみるとこの
「言葉をしっかりと理解する。」
ってどうしたらいいの?
ということが引っかかっていました。
たくさん本を読めばいいとわけじゃないし、
言葉の意味を一つ一つ辞書で調べて
理解するというのも違いますよね。
その答えを考えているときに、
「論理の国語」こそがホンモノ
という論理・公式で国語を解くという
という本に巡り会いました。
【論理】【公式】で国語を解くとは?
一般的に本を読めば、
なんとなく話の内容を理解して、
- 面白かった
- ○○と思った
- 感動した
という感性(センス)を持ちますよね。
だけど、紹介したこの本では、
国語を解くのであれば、
「センスの国語力」はニセモノ
「論理の国語力」はホンモノ
と言っています。
論理とは、
「難しいことを単純化する」
ものであり、
算数でいう公式です。
![](https://triumph0916.com/wp-content/uploads/2020/10/1113448_s.jpg)
そして、国語を論理的に解くために
- いいかえる力
- くらべる力
- たどる力
が大事で、これらを鍛えることで
国語力が上がり、
言葉の意味を理解できるようになる
ということでした。
実際、この本の著者の
ふくしま国語塾の福嶋隆史先生の元で学び、
偏差値が20も上がって、
難関校に入学できたという学生も
たくさんいるそうです。
この3つの能力の中で
私が特に感銘を受けた
「いいかえる力」
について紹介します。
「いいかえる力」とは?
「いいかえる力」とは、
抽象的な表現を具体的な表現にしたり、
逆に
具体的な表現を抽象的な表現でまとめたり
する力です。
具体的→抽象的の例としては、
「山手線、京浜東北線、中央線」
つまり
「電車」
です。
逆に、抽象的→具体的の例としては、
「電車」
例えば、
「山手線、京浜東北線、中央線」
です。
こんなふうに
「つまり」で表現できるものは抽象的で、
「例えば」で表現できるものは具体的ですね。
この具体的な表現と抽象的な表現は
共通点があるという意味で
イコールとなります。
![](https://triumph0916.com/wp-content/uploads/2020/10/2331344_s.jpg)
「ふーん、それで?」
と思われたり、
一見、簡単そうなことに見えますが、
本当に言葉の意味を理解していないと
正しい言い換えはできていなくて
意外と奥が深いのです。
抽象化するときは近い枠組みで
先ほどの抽象化の例で、
「山手線、京浜東北線、中央線」
について
「乗り物」
としてしまうと間違いではないのですが、
「電車」が含められるような
大きい枠組みですよね。
なので、抽象化するときは
近い枠組みで表現できた方が
正しい表現になります。
これを
マトリョーシカ方式
と呼ぶそうです。
![](https://triumph0916.com/wp-content/uploads/2020/10/3594435_s.jpg)
子供はそもそも近い枠組みを
知らないかもしれませんので、
そのときは教えてあげましょう。
文章の要約をするコツ
一つの文章にいろんなことが
盛り込まれていると、
結局何の話か分かりにくくなりますよね。
そういうときは、
- まず述語を見つける
- 述語をもとに主語を考える
の順で文章を読むと、
その文章の要約ができます。
例えば、
水に沈む鉄でできたボルトもナットも、鉄より密度の大きい水銀には浮かぶ。
という文章の主語・述語は何でしょうか?
述語から考えると、
「水銀に浮かぶ。」
となります。
そこから主語を考えると、
「ボルト・ナット」
になります。
「水に沈む鉄でできたボルト・ナット」
でも間違いではないのですが、
できる限り削れるところは削った方が
シンプルな要約された文章ができます。
![](https://triumph0916.com/wp-content/uploads/2020/10/3064244_s.jpg)
要約された文章は、
「ボルト・ナットは水銀に浮かぶ。」
です。
主語・述語の抽出ができると、
の著者である新井紀子先生らが考案した
リーディングスキルテストの
係り受け解析の問題が得意になります。
また、この主語述語が何かを考えると
法律って意外と分かりやすく
できていることに気がつきます。
例えば、刑法235条は、
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
と規定されています。
述語は、
「窃盗の罪とする」という罪名と
「十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」
という刑罰の2つになります。
主語は、
「窃取した者」だと意味が分からないので、
「他人の財物を窃取した者」が
正しい主語になります。
そうすると、法律の条文の文言って
全く無駄がないことが分かりますね。
![](https://triumph0916.com/wp-content/uploads/2020/10/2198231_s.jpg)
いろいろ盛り込んでしまうとと
様々な解釈を生むことになるため、
できる限り抽象的で要約された
文章にする必要があるからです。
名詞化して抽象化する
国語の問題で、
「次の文は何について書かれていますか?」
という問題ってありますよね?
これって抽象的にして
要約することを問われています。
そして、この「何」とは、
「名詞」でなければなりません。
例えば、
電車の優先席では、足の悪い高齢者や、妊婦さんなど必要としている人に席を譲りましょう。また、その近くでは携帯電話の電源は切りましょう。
という文で何について
書かれているかと問われれば、
「電車の優先席のマナー」
が答えになります。
「気をつけること」でもいいんですが、
「マナー」っていう名詞を使える方が
語彙力が上がるので、そういう言葉を
教えていく方がいいですね。
これが答えられれば、
本当に文章の理解ができているといえます。
言葉や文章を理解しているかを確認するために
以前、機会があって立ち会った
刑事裁判の際に裁判官が被告人に対して、
保護観察処分つきの執行猶予判決を
言い渡すときに執行猶予期間中に
守ってほしいことを告知していました。
それは、
- 深夜に無断外出しないこと
- 共犯者と接触しないこと
といったようなことです。
![](https://triumph0916.com/wp-content/uploads/2020/10/1843407_s.jpg)
こういうことを説明した後に、
「つまり何を言いたいか分かりますか?」
と質問していました。
しっかりと理解しておらず、
答えに行き詰まる被告人に対しては、
「犯罪に近づく行為はしないでくださいと
いうことを言っているんです。」
と話していました。
ここまでハッキリとは答えられなくても、
これに近い答えを出していた被告人は、
本当に反省して裁判官の言葉を
受け止めていたように見えました。
言葉や文章を理解しているかを
確認するなら、こんなふうに
「つまり、何が言いたいか説明してみて。」
と質問してみるのが効果的です。
まとめ
読解力を身につけるためには、
「言葉をしっかりと理解する。」
ことが重要です。
そのためには、
- いいかえる力
- くらべる力
- たどる力
を身につけると良いです。
この3つの力のうち、
「いいかえる力」を鍛えるためには、
- 「つまり?」と質問して、具体的な表現を抽象的な表現にいいかえさせてみる
- 「例えば?」と質問して、抽象的な表現を具体的な表現にいいかえさせてみる
- 文章の述語から、主語を考え、文章を要約してみる
- 抽象的な表現へのいいかえは、名詞化する
というところを意識してみましょう。
紹介した本の一部だけを
ピックアップさせていただきました。
本の中ではもっと詳細で
実践的な取り組み方が載っています。
親子の普段の会話の中でも取り組めそうな
こともたくさん載っています。
親の方で一読しておくと、
普段の会話が子供の読解力の訓練になるので
本当にオススメの一冊です。
私も学生の頃は、算数、数学は得意でしたが、
国語は漢字の読み書きはともかく、
文章理解は苦手だったので、
これを知って取り組んでいたら、
もっと国語に興味を持てたでしょう。
また、福嶋先生は、小学生向けの
問題集も出しているようなので
こちらも親である私がまず試してみます。
ふくしま式「本当の国語力」が身につく問題集[小学生版ベーシック]
コメント